桑野造船株式会社
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高齢期の体力設計について
北九州ローイングクラブの松野氏の論文、第2段です。
『健康の維持=体力の維持』といった観点から、年齢に応じた目標とトレーニング計画を立てられました。

松野 範衛 氏 
2005年全日本社会人選手権
男子シングルスカル60歳以上の部 チャンピオン

現在、“自分で設計したボートで漕ぐ”という夢に向かって、積極的に活動されています。

はじめに
2005年12月23日、66歳になったので、これからの体力トレーニングの個人計画をまとめてみた。

@目標とする寿命を88歳としておく。
  2002年調査によれば、66歳男性の平均余命は18年である。したがって、平均的には84歳まで生きられる可能性が高いが、自分自身の目標としては、祖父68歳、父78歳、その息子88歳でいうことなしであろう。

A88歳まで(死ぬ直前まで)自力で楽しい日常生活のできるよう、知力/体力をキープすることが大切。私の定義では、知力とは次に何をしようかを考える能力のことであるが、何かをするためには「行動できる体力」がなければならぬので、結局は「体力」が基本である。

B体力は、多岐にわたる項目の総合であり、簡単にまとめにくいが、生物である以上「酸素摂取能力」を基本としてよいであろう。
最大酸素摂取量VO2maxの加齢との関係は諸説あるが、総て20歳をピークにして、簡単な一次の回帰式である。20歳を100とおいて、年1%ずつ低下して、120歳で0になる直線を考える。120歳あたりが現実的なヒトの寿命限界ということを含めて、極めて覚えやすい。(学術的正確さはないが、現実的な体力劣化特性である。
すなわち、VO2max = 120-年齢 (年齢≧20)を基本式として使用する。

原始体力と文明体力
ヒトの本来持っている「原始体力」に対して、現代人は身体を動かさない生活習慣から、その50%レベルの「文明体力」に落ちている、という説がある。実感として納得できる。
多くなったとはいえ、100歳以上生きるヒトはまれなので、文明体力の100歳時点における体力を、体力マージンのなくなった「ねたきりライン」とすることも現状によく当てはまる。


文明体力人間は、80歳で体力マージンは10しかないが、原始体力人間は100歳でマージン10を持っており、文明体力人が平均80歳で死ぬのなら、原始体力人は100まで生きられるということになる。60歳以上の体力と寿命の関係を、このグラフは上手く表現できていると思う。

原始体力を作るには「適切な運動を、生活習慣として続ける」こと以外に方法はない。高齢期における適切な運動とは何か、を明確にしておく必要がある。

最も有名な研究は、ハーバード大学卒業生1万7000人を16年かけて、運動と死亡率を追いかけたPaflenbargerのものである。結論は驚くべきもので、週2時間で3000〜3500kcalの強いスポーツを行ったグループが、スポーツを全くしないグループに対して、50〜84歳で約1/2の死亡リスクということであった。運動の効果は当然のことであるが、最も効果のある運動の強さが、日本で一般に言われているレベル(週2000kcal)よりも、はるかに上をいくところが考えさせられる。(例のごとく、日本の医者は日本人と欧米人は違う。こんなにやるのはキケン。もっと安全に安全に、という言い方をする。)

ハーバード卒というのは、アメリカでも特別に良い環境レベルでの生活をしている人間である。日本人との体重差は考慮するとしても、目指すべき運動強度は見習うべきではなかろうか。
それにしても、週4回として、1回あたり750kcal/30分は非常にきつい。当方の実行可能レベルとしては、750kcal/1時間として、週4回というところか。
1つの「適切な運動」の参考値としておく。

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