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漕艇6日目

9月9日合計33キロ (ビール〜アーレ川〜ゾロトゥルン) 

 いよいよ最終日。ライン川に注ぐアーレ川を下る予定だ。7時15分にケーブル駅に集合し、ケーブルで下り、艇庫に向かう。ご老人が多いのに、時間に遅れる人がいないのには感心する。薄曇りで、気温は15度。寒さを感じるほどだ。

 今日のキャプテンはシモーネ(オランダ)。男勝りの女性で、威厳がある。タッド(アメリカ)、アンダース(デンマーク)、ジャクリーヌ(カナダ)。ジャクリーヌが舵を引き、シモーネが整調。私は3番を漕ぐ。漕ぎ出してしばらくしてから、このレートでいいかと、シモーネが皆に尋ねる。アメラグ選手のようなタッドが、ちょっと抑えてくれ、と言うので、レートを落とす。アーレ川まで運河が続く。途中、9人乗りのカヌー2杯、シングルスカルとすれ違う。

 2キロほど行ったところにロック(閘門)がある。高低差の大きい水面に船を昇降させる仕組みである。閘室に入るまで一時間ほど待つ。仲間の1艇が遅れたためのようだ。後でその艇がクニオさんの艇と知る。どうやらウォーミングアップでビール湖を漕いでいるうちに、運河入り口を見失ったらしい。肌寒くなってきて、シモーネが「花摘み」に上陸。すぐ帰ってきて、きれいなトイレがあったわ、と言う。

 やっと閘室に艇6捜が入り、それぞれオールとリガーをつかんで待機。その間に陸上で待機していたスイス役員の女性が、ヨーデルを響かせる。石の壁にこだましてなかなかよろしい。オーナの誕生日ということで、ハッピーバースデーの歌声も響く。

 閘門の扉があき、アーレ川へ漕ぎ出す。川岸の樹木が美しく光り、瀟洒な邸宅が静かなたたずまいを見せる。またまた、川のながれのように、を歌いたくなる。川岸がコンクリート護岸でないのが気持ちよい。途中からアンダースが整調を漕ぐが、192センチの身長を生かした大きな漕ぎ方で、あわせるのに一苦労する。抑えて漕いでいるに違いないが、173センチの私とは差が大きすぎるのだ。でも漫漕気分が損なわれることはない。

 12時にグレンチェンに到着。先に閘門を通過した仲間は既にビールを飲んでいる。食堂で腹をすかして待っていると、魚のフライがどっさりでてきた。久々の魚で美味い。今日はガス入り水で我慢。閘門前の待ち時間があったせいか、24キロの疲れはない。

 なにやら爆音がするので、空を見上げると、飛行機が急上昇したり、急降下している。アクロバット飛行の連続。スイス空軍の空中ショーらしい。つづいて軍機が9機揃って菱形になり何度も通過していく。ジャクリーヌが「エイトのように揃ってるわね」と感心する。

 午後の漕艇は9キロ。これが最後の漕艇かと思うと名残惜しい。しかし、いつまでも空中ショーの飛行機が飛び、どこまでも爆音が鳴り響く。はじめこそ物珍しかったが、静かな川下りを邪魔されている感じがしてきた。

ジュラ山脈を左舷に見ながら漕ぎ進める。あっという間に、ゾロトゥルンに到着。ちょっと拍子抜けの最終ローイングだったが、漕ぎ終わると同時に、すぐに艇を洗い、リガーをはずし、運搬車に乗せる作業にとりかかる。今日も、皆率先して作業に従事しているのが、見ていても気持ちいい。

 全て終了して、艇に感謝。運搬車を見送る。地元ボートクラブの歓迎パーティー。昨日と同じく、ワインとビールが出される。ワインを飲みながら、オーストラリアから参加のネリーと歓談。ビヴァリーから噂をきいていた女性だ。なんと82歳で、マスターズのチャンピオンだという。その話を訊こうと思うと、誰がそんなこと言ったの、と困惑気味。背筋の伸びた老婦人で気品のある女性だ。

もう勝敗にこだわらないpleasure rowingだけですか、と尋ねると、「いいえ、来年はまたマスターズにでますよ。5種目にでるつもり。一日3種目の日もあるわ」とおっしゃる。こんな素敵な老い方ができたらいいなと思う。オーストラリアのFISA Rowing Tourに参加したら、このネリーに再会できるかもしれない。今回ツアーの掉尾を飾る出会いだった。

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